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Study Abroad Report
-留学記-
KU Leuven
渡航者:田城 翼(助教)
留学先:KU Leuven(ベルギー・フラームス=ブラバント州・ルーヴェン)
留学期間:2023年5月
・留学のきっかけ
報告者は、2022年9月にアイルランドで行われた国際学会European Society for Movement Analysis in Adults and Children (ESMAC)に参加した。当学会で、ベルギーのKU Leuvenの研究者が発表しており、その内容に興味を持ち、質問させて頂くと同時に、渡白して研修をしたい旨を直談判した。その後、6ヶ月間に渡るメールでのやり取りの末、本海外研修を行わせて頂く運びとなった。研修先は、ベルギー・ルーヴェン市に位置するKU Leuven(Katholieke Universiteit Leuven)のResearch Group for Neurorehabilitationである。受入研究者Kaat Desloovere教授のご厚意で、客員研究員(Visiting Scholar)として招待して頂き、ベルギーに渡った。
研修先UZ Pellenberg病院の外観
UZ Leuven campus Pellenberg 病院の
エントランス
・留学先での研究活動内容
ルーヴェンの研究所は、脳性麻痺やパーキンソン病を含む神経筋疾患患者を対象に、歩行分析など臨床研究を実施している。超音波画像装置、三次元動作解析装置、筋電計などを使用して、患者の筋形態、歩行中の関節角度やモーメント、筋活動を計測する。報告者は、実験の見学に加えて、その補助や解析を一部担当した。一回の実験はおおよそ1-2時間ほど時間を要するが、ほとんどが1-2名の検者で効率的に行われていたことには驚いた。研究者それぞれが研究の手法を熟知しており、検査者が異なっていても、全ての実験が同じ手順、方法で統一されていた。ニューマンエラーは極めて少ないであろう。実験以外の時間は、在宅ワークしている研究者が多く、研究室は普段は閑散としていた。
超音波画像装置を使用した実験風景
・留学先での生活
報告者は、ベルギーの首都ブリュッセルから東に約25km離れたルーヴェン(Leuven)に滞在した。ルーヴェンは、ベルギーのフランデレン地域に位置する都市で、学術都市として知られる。56.63 km²の面積をもつルーヴェン市内は直径3kmほどであるため、旅行者にとってウォーカブルな街である。代表的な大学としてKU Leuvenが存在し、人口102,126人の半分以上を学生が占めるため、街の治安は比較的良い。研修中の5月は、サマータイム中で、日本との時差は7時間。最高気温は20-24度、最低気温6-11度ほどで、晴れていれば日中は半袖で過ごすことができた。5/21(日)の日の出は5:43、日の入りは21:33。夜は21時半過ぎまで明るく、日本の感覚で夜を過ごすと遅くまで起きてしまうため、カーテンを利用してサマータイムを対処した。研修が始まる1週間前に、KU Leuvenのゲストハウスをオンライン予約することに成功し、一泊あたり31ユーロ(約4,660円)で宿泊することができた。その宿泊施設には、シングルルームにシャワー・トイレが付いており、キッチンは共用であった。KU Leuvenの特徴のひとつとして、ルーヴェン市内に点在する複数のキャンパスの全てに図書館がある。職員証をかざすと入室でき、作業することができたのは便利であった。その職員証は、Desloovere教授がKU Leuvenに私の国際招聘について申請をしたことによって、発行された。
ゲストハウスの室内
1425年に設立されたルーヴェンカトリック大学の中央図書館
・留学を振り返って
他言語でのコミュニケーションで困る場面が多かった。ベルギーの公用語は、オランダ語、フランス語、ドイツ語の3つであるが、ルーヴェンではオランダ語がほとんどであった。何かディスカッションする場合は、英語で会話できたが、実験中はオランダ語で進められた。それでも、日本語以外で研究活動を行うことは、国内で得難い経験であり、実り多い時間であった。印象的であったことは、ベルギー人の自主性を重んじる国民性である。ベルギーは民主主義の価値観が根付いており、個人の自由や権利を尊重する社会が築かれている。私の研修スケジュールについて、まずは「何をしたいのか」を求められ、それに基づいて日程調整が行われた。要するに、自主性がなければ、何も進まない状況であった。海外で活動するにあたって、自ら考え行動する能力の重要さも学ぶ期間であった。
・将来の展望
国際共同研究を開始し、オンライン会議などを通して、継続的な交流を図る。次の展望として、2023年8月から研究滞在を行い、先方の技術取得を目指す。
・謝辞
この度、ベルギーでの短期海外研修の機会を与えて下さった浦辺教授、前田准教授、小宮助教、そして大学院生の皆様に心より感謝申し上げます。この活動がスポーツリハビリテーション学研究室の研究活動を発展させるものとなるように、引き続き努めて参ります。
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